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水溜りに釣竿を投げる。 分かっている。おかしな光景だろう。重々承知だ。でもできないことはないと証明したいんだ。 バイトも長続きせず、友達もろくにいない。恋人ももちろんいない。こんな俺がふてくされて酒を飲んで帰っている夜。ふと大きな水溜りを見つけた。その時、なぜか知らないが“これだ！！”と頭の中でドラが鳴った。カンフー的な音楽と共に。 それ以来、この水溜りに釣竿を垂らしている。釣竿の先にはもちろん餌がついてる。“エビ”をつけている。見た目的には少しの水溜りにエビが浮いているに過ぎない。でも必ず何かがかかる気がした。 何年も、何年もそれを続けた。気づいたら人が集まるようになっていた。